モールス符号はサムエル・モールスが1832年考案し協力者のヴェール
が短点の数だけの構成から長点と短点を組み合わせることを思いつき現在の
コードが出来たと言われています。
同じくアメリカの探偵小説家(純文学の位置づけ?)ポーの「黄金虫」と
いう暗合をテーマにした小説のなかにアルファベットの使用頻度がその鍵を
握るという内容の話があり、アルファベットを使用される頻度の大きい順に
並べると次のようになると書かれています。
E,A,O,I,D,H,N,R,S,T,U,Y,C,F,G,L,M
W,B,K,P,Q,X,Z
とあり何故かV,Jが抜けた24文字となっています。 モールスコードも
そのコードの割当はアルファベットの使用頻度により決められ、頻度の高い
文字から短い符号が付与されていると云われています。
ポーのアルファベットの頻度順とモールスの符号を考えて漠然となるほど
と思いましたが、ポーの順序は何か根拠があるのか、またモールスの各符号
の時間的長さはどうなっているのかと疑問が湧いてきました。
そこで先ずモールスコードの時間的長さを検証してみることにしました。
アルファベットの”E”は短点1つで一番短くポーの順番も1番になってい
ますが次はdot(短点)2つの”I”の筈なのにA,Oとなっています。
モールス符号は単語間を除けば1:3で構成され、短点とスペースが1で
1長点は3短点で3でありますが”E”を1ビットとすると”I”は2つの
dotと1スペースで3ビットとなり、以下同じ長さの文字はアルファベッ
トの順に並べると下記のようになります。
1 bit .... E
3 bit .... I T
5 bit .... A N S
7 bit .... D H M R U
9 bit .... B F G K L V W
11 bit .... C O P X Z
13 bit .... J Q Y
符号の時間的長さによるアルファベットの文字の序列は上のようになるわ
けです。 従ってEとJ,Q,Yの時間的倍率は実に13倍となります。
しかし時間的長さだけでは能率は確かに良いが分かり易い取り易い符号と
云う意味では別の観点があるように思い考えてみたところ、昔(1982年
頃はもう昔ですね)マイコンのモールス自動解読が流行ったころモールス符
号の数値化というアルファベットの順番があったのを思い出しました。
E ・ 0 , T − 1 , I ・・ 00
A ・− 01, N −・ 10, M −−
1 1
S ・・・ 000, U ・・− 001 以下略
というので、これを全部並べると次の如くなります。
ETIAN MSURW DKGOH VFLPJ BXCYZQ
そして更にもっと強い味方?というか統計がありました。 統計の年度は
分かりませんがニューヨークタイムス10万字統計の英語文字度数、頻度表
と云うのがありました。 それによりますとやはり”E”がトップで その
頻度は12.25%で最下位は”Z”で0.08%です。 全部の順位は下
のとおりとなっています。
ETAOI NRSHD CLMPU FGWYB VKXJQZ
今までのポー、時間的長さ、マイコン数値化、NYタイムスの順位を欧文
モールス符号の序列、順位で並べて整理しますと下記のようになります。
ポーの順位=E A O I D H N R S T U Y
C F G L M W B K P Q X Z ,.
時間の長さ=E I T A N S D H
M R U B F G K L V W C O P X Z JQ Y
MC数値化=E T I A N M S U
R W D K G O H V F L P J B X C Y ZQ
タイムス順=E T A O I N R S
H D C L M P U F G W Y B V K X J QZ
モールス符号の欧文コードの構成と文字割当の素晴らしさに今更ながら驚
き感嘆の声を上げずにはおられません。 これが本当に100年以上も前に
つくられたのか。 このモールス・コードを守るのは我々アマチュアしか
出来ない今、この気持ちを一人でも多くのハムに伝え電信の灯を大切にして
いこではありませんか。
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